荒野に咲くチューリップ – イスラエルスタートアップ企業が開発する集光型太陽熱発電

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2013年12月17日 -- Mr. Union

砂漠に突如として現れるオレンジ色のタワー、そしてその周囲に立ち並び、陽の光を受け銀色に輝く数々の板。一見すると何を目的として作られたのかわからないこの装置は、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換する集光型太陽熱発電装置だ。

イスラエルのスタートアップ企業、アオラ(AORA)社が開発したこの装置、その名はTulip(チューリップ)。イスラエルの荒野に咲くこのチューリップはどのようにして機能し、既存の太陽光発電・集光型太陽熱発電と比較し、どんなメリットを備えているのだろうか。

太陽の熱で空気を加熱、タービンを回転し発電

Tulipの仕組みはいたってシンプルだ。周囲に配置されたヘリオスタットと呼ばれる反射鏡が太陽の動きに追従し、太陽光をタワーの頂上部の一点に集光、内部の空気を加熱。

ヘリオスタットにより発電部に集光する

Image via GadhetWiki

加熱された高温の空気がタービンを回転させ、その力により発電する仕組みだ。

集光した太陽光で空気を加熱しタービンに送る

Image via GadhetWiki

タービンに熱を伝える手段(熱媒体)に使うのは周囲に無尽蔵にある空気のみというのが、Tulipの特徴の一つだ。熱媒体として水(水蒸気)を用いる太陽熱発電もあるが、太陽熱発電の利用が適しているような日射量が豊富な地域は、同時に水資源に乏しいことが多い。

Tulipが使用する水の量は、熱媒体に水蒸気を用いるタイプの太陽熱発電に比べて、わずか8%に過ぎない。水資源に乏しく、その利用・処理の技術を長年開発し続けてきたイスラエルらしい発想と言えよう。

ガスとの組合せで、あらゆる状況において安定した発電が可能に

太陽光発電や太陽熱発電の根本的な課題の一つが、「太陽が出ていないと発電しない」という欠点だ。当たり前といえば当たり前の事実だが、Tulipはこの欠点をガスとの組合せで克服している。

先ほどTulipが、集めた太陽の光によって加熱した高温の空気によってタービンを回転させ、発電すると説明した。よって極論すれば、高温の空気さえ作り出せば発電できることになる。

Tulipが代替燃料を用いる仕組み

代替燃料を用いて発電する仕組み via GadhetWiki

夜間や曇天時など十分な日射量が得られない時、Tulipはディーゼル燃料や天然ガス、バイオマス燃料等の代替燃料を用いて、安定的な発電を継続す ることができる。また発電によって発生する熱は、地域の冷暖房や工業用スチーム・温水の供給、バイオ残渣の乾燥や脱塩化に再利用が可能で、発電にとどまら ず熱利用効率の向上を実現している。