カリフォルニア州、蓄電池付き太陽光発電の導入に難航

ユーザー Mr. Union の写真
2014年3月29日 -- Mr. Union

アメリカのカリフォルニア州において、蓄電池付き太陽光発電の導入が難航している。導入にあたって高額な申請料と長い調査期間を課す電力会社に対し、太陽光発電の設置事業者が反発。業界大手のSolarCity社が、接続申請を中断する事態にまで発展している。

電力会社に申請しながらも、送電網への接続許可がほとんどおりないカリフォルニア州

アメリカの太陽光発電設置業大手のソーラーシティー(SolarCity)社が、蓄電池付きの太陽光発電システムを送電網に接続するための電力会社 に対する申請を中断していることが明らかになった。カリフォルニア州では、1年ほど前から大手電力会社の消極的な対応が問題となっており、それに対する抗 議と考えられる。

現在、同社と蓄電池の購入契約を結んだ顧客は約500人で、そのうち100名程度が商品を受領しているという。しかしながら、SolarCityに よれば電力会社から送電網への接続許可を受けたのはそのうち12名に過ぎず、ほとんどの顧客が蓄電池を購入しながらも送電網に接続できていない状態だ。

SolarCityによれば、カリフォルニア州の大手電力会社(Pacific Gas & Electric社、SDG&E社、Southern California Edison社)に対し、同社が2011年以降出した申請数は140件。うち、電力会社から許可がおりたのは12件と約2年間で1割にも満たない。内訳と しては、Pacific Gas & Electric社が11件、SDG&E社が1件、Southern California Edison社に至っては10件の申請にも関わらず1件も許可がおりていない。

昨年10月、カリフォルニア州公益事業員会(California Public Utilities Commission : CPUC)は、SolarCity社の分も含め319件の申請のほとんどが進展しておらず、それらの出力の合計値は10 MWにのぼると見積もっている。

審査には高額な手数料も

申請から送電網への接続にかかる高額な諸費用も問題になっている。各電力会社は、申請対象案件の調査費用として800ドル(約8万円)を要求。さら に、新たなメータの導入費用等で、600ドル(約6万円)から2,900ドル(約29万円)の追加費用の支払いも要求している。

SolarCityの広報責任者であるウィル・クラベン(Will Craven)氏はこれらの費用は過剰で、電力会社が実際に支払うコストはごく僅かであると指摘。同社は現在、蓄電池の設置自体は進めているものの、これらの費用の支払を停止しているとのことだ。

システム上の問題で蓄電池の系統接続が進まず

電力会社が蓄電池付きの太陽光発電導入に対し、この様な消極的な対応を行う背景には、送電網に送出する電気の出自を明確にできないという問題がある。

カリフォルニア州では、「net metering」という制度に基づいて、太陽光発電により発電した電気を電力会社が購入している。これは日本の余剰買取制度と似ていて、太陽光発電によ り発電した電気のうち、その場で消費した分を差し引き、余った電気を電力会社が購入するという制度だ。

通常の太陽光発電システムであれば問題ないものの、ここに蓄電池が加わると「送電網に送出する電気の出自が特定できない」という問題が生じる。

すなわち、送電網に送出する電気が蓄電池の由来で、さらにその蓄電池を送電網から受けた電気によって充電していたとすると、消費者は電力会社から安 く電気を購入し、それを再び電力会社に高く販売することにより、電力会社は損をすることになってしまう。通常、太陽光発電の買取価格は、通常の電気料金よ りも高く設定されているためだ。

この様な「偽装」を防ぐため、対象となるシステムを精査し、メーターをはじめとした追加機器が必要になるというのが、電力会社側の主張だ。

CPUCの委員長であるマイケル・ピーベイ(Michael Peevey)氏は昨年10月、現状の「net metering」制度に適合する再生可能エネルギー設備と同等の性能を備える蓄電池には認証を付与するという委員提案を公表している。業界関係者は今年 早々には正式決定されると期待していたものの、いまだCPUC内で議論されている段階だ。

さらなる再生可能エネルギーの導入拡大にむけて重要な役割を担う蓄電池

SolarCityのCEOであるリンドン・ライブ(Lyndon Rive)氏、また筆頭株主で電気自動車製造大手テスラ(Tesla)社のCEOでもあるイーロン・マスク(Elon Musk)氏は、先月行われたCPUCの会合において、電力会社の消極的な姿勢は、自分達のビジネスモデルを脅かしかねない分散型再生可能エネルギーによ るイノベーションに対する抵抗の表れだと不満を述べている。

消費者は太陽光発電及び蓄電池を、系統電力の有効な代替手段と考えるかもしれない。しかし、両者が密接に連携してこそ電力会社・消費者双方に価値を もたらすのであり、完全に切り離して運用することは不可能だ。電力会社にとっても、太陽光発電等の出力変動の大きい分散型電源の導入量が増えれば、送電網 を安定的に運用するために蓄電池の価値が高まるはずだ。

CPUCは2020年までに1.3 GWの蓄電池を電力系統に導入するためのルール策定を進めており、電力会社が蓄電池の接続を妨害することをこのまま許しておくとは考えにくい。

20%と高い再生可能エネルギー比率を実現しているカリフォルニア州は、次のステージに進むための重要な課題に直面している。

参照情報